イギリスの精神分析系で凄いひとたち
今年度のゼミで前期に扱うDraculaをWorld's Classics版で再読しているのだが、Introductionを書いているMaud Ellmannの才気にかなりのところ参ってしまう。凄い。この方IQ的に頭が良いだけでなく読解がともかく鋭角的で鋭くつまり文学的なセンスというか才能があるし精神分析の扱い方も抜群(便利な道具でこれを使用するなんてセンス最悪!)なのだが、今回あらためて参ったのはその英語の文体的卓越というかつまり文章がメチャ上手い。つまり筆が立ちまくるということ。その感じとしては三田の敬愛する先輩であるM馬さんが暗記するまで惚れ込んだTony Tannerの英語を思い出してしまうというところか。小生なども英語の論文を上手に書きたくて幾多の批評家の文章を丸暗記してきたが、このTannerの英語もペンギンのジェイン・オースティンの序文をいくつか本当に覚えこんだ。やはりイギリスの批評家の或るタイプの文章という感じは否みがたく、そういえばEllmannもTannerもCambridgeはKing's CollegeのFellowというお立場で、そのせいか仕事量などいささかaristocraticな印象だよな。と同時にEllmannは北米のバークレイとかバッファロウにはいない感じのなんともイギリス的な精神分析系で凄い=切れまくる方々のお一人であることは間違いなく、ほかに例を挙げればJacqueline Rose; Mary Jacobus; Lyndsey Stonebridgeということになるだろうか。ここらあたりのひとって本当に凄いのに本邦ではあまり紹介されていなくてとてももったいないとつねづね小生などは残念がっている次第だが、残念がってばかりいないでこの方々を想定読者にするようなpublicationsということをもっとやらなくてはいけない。とりあえず今年羅漢協会で書くことになる論文、英語で書いてもいいかなあ(仏語でないということでとても田舎者扱いされるだろう)。職場の紀要には原則的に英語で書くことにするか。というか懸案のJoan Riviere論を近い将来完成し海外投稿をしなくてはいけない。ともかくともかく『ドラキュラ』のイントロ、特に出だしのパラグラフなど凄い英語だなあ。M馬先輩などはタナーの冒頭の箇所などセミ・コロンの息づかいにまで敏感に暗記していたっけなあ。
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そういえば、MacCannell教授のワークショップ、11月14日(土)@成蹊ということになりました。どうかみなさまこの日は吉祥寺のご参集ください。