海外逃亡から本日帰還

最近は年度末の恒例になっている感もあるロンドンへの海外逃亡から無事帰還。知的なリビドーを自分の知的関心にのみほとんど傾注できる期間が1週間弱でも確保できただけでかなり気持ちが落ち着く。国立方面のブログを拝見し吉祥寺と質は違いながらも量的には非常なる激務のようでこの年度末の「海外逃亡」の意味はかなり大きいと拝察したりもする。それに加えてまあ小生の場合まったくミーハーとしてVirginia WoolfのようにI love walking in London!な人間なのでCentral Londonの一部ではあるが目をつぶっても道がわかるあたりをぶらぶらしているだけでもかなり心が潤ったりもする。特にLeicester Squareあたりでかなり酩酊しそのまま夜などにRussell Squareの宿まで少々裏道をぶらぶら歩いていたりすると懐旧の情にいきなり襲われる(地元のあんちゃんにいきなり襲われることはないと思うが2年前はタクシーに轢かれかけた)。

今回は学務と家庭の都合で土日を含むfar from being idealなスケジュールであったけれどもBLのreading roomは土曜日は大丈夫だったのでどうにか意味のある滞在にできたかもしれない。今回の主目的はすでに熟知しているはずの(ところが実際はしていない)The Institute of Psychoanalysisを訪問することであったが、Bloomsbery関係のarchive(特にJoan Riviereの手稿)を見ることができたばかりか、ここのarchivistのJoanneがとても親切にしてくれて彼女に小生の関心の所在を理解してもらい知己を得たのは今後の研究のためにも大きな収穫だったと思う。時間的な余裕をもってemailすべきだったところ旅程を決定してから連絡してわかったのが、Joanneが出勤するのが火曜と金曜であって今回の旅程では金曜しかアーカイヴを読むことができないところ、気を使ってもらって月曜にも金曜に彼女が出してくれたけれども読みきれなかった資料を読ませてもらったのは本当に助かった。吉祥寺の別の資金で来年度も訪問が可能なので「夏に来る」といったら「楽しみにしている」という返事だったのでなんか嬉しかった。このInstituteがあるMaida Valeはこれまであまり馴染みのある地域ではなかったが、よく考えればBBCなりBeetlesなりLittle Veniceなりで名を知られているところであったのだなあ。Bakerloo lineのMaida Valeから歩いてみるとLate VictorianあるいはEdwardianなflatsが小奇麗に並んでいる感じで、この研究所は金曜以外は夜は20:30まで開いているからその時間までいて帰ってもまあ安全であるのだろう。木曜の午後にHeathrowに着きその足でこの研究所に赴きまずはlibraryをひとわたりcheckし、翌日の金曜は半日の間Riviereの凄まじい悪筆と格闘し(特に彼女が最初分析を受けていたErnest Jones宛ての書簡は内容と比例してともかくも酷い字の乱れであってJonesの分析がいかに駄目であったのかをいわば唯物論的に納得できたりもしたが、一方Riviereが永年の間分析をした或る婦人への書簡はほぼperfectly legibleであったので、かえすがすもJonesのanalystとしてのincompetenceが知られる)。そんなことを感じながら次の本なども未読という体たらく:

Freud's Wizard: Ernest Jones and the Transformation of Psychoanalysis

Freud's Wizard: Ernest Jones and the Transformation of Psychoanalysis

まあありていにいって制度的なことを抜きにすればJonesはRiviereの知的卓越に適うはずもないし。

土曜日はBLで相変わらずStrachey関連。これは以前の滞在時の宿題である。日曜はやはりフロイト詣でという意味もあるが、ここにも少なからずのarchiveがあるのでHampsteadのFreud Museumへ。Russell Squareから徒歩でHampsteadまで徒歩でいく(この道の一部であるEustonからHampsteadまでの道は以前滞在したときの通勤路であった。つまり地下鉄を使わず歩いて研究室に行き返りしていた道でとても懐かしいが、途中にある日曜のCamden Town辺りの猥雑を愛することは到底できない)。いったんHampsteadまでのuphillを上りきってから今度はSwiss Cottage方面へ戻りMaresfield GardensのFreud Museumという行程。細かい道を知らずに適当に山勘で歩き適当に最後に右折したらすぐにMaresfield Gardensに行き着いたのでやはりフロイト教授とはご縁があるのか。ここは再訪であるがarchive関連へのアクセスのcheckなど。ついでにミーハーな小生は£35でフロイト教授の小型のstatueを購入したり。研究室の机の上に飾ろう。翌日の月曜は半日Riviereの悪筆と格闘。疲れたのでその日もLeicester Square辺りのパブで酩酊してから近所の中華で適当に夕食とか。翌日の火曜は朝早くcheck outして空港へ。前日に北アイルランドで自動車爆破のテロがあったせいかセキュリティがいつもよりも時間がかかり疲れる。

今回のヒコーキは少々贅沢をしてBAのWorld Traveller (Economy) のちょっといいやつ(World Traveller Plus)にしたのだが、行きは幸運にもClub World (Business) にupgradeしてしまい、予想外の快適を体験したが、自腹でbusinessという気にはならないのはやはり育ちの悪さであろうか。

追記:ロンドンまで携帯可能なノート型PCがなくホテルのPCもやはり日本語環境でなく滞在中はメールにも返事できない無作法が続いてしまった。来年度の研究費で買わなくてはなあ。