渡英の前の業務

新カリキュラムのネイティヴの担当者についてうっかりしていたことがあり、その件で急遽メールをしてどうやら事なきを得る。今のところ一番厄介なところをH比野さんに依存してしまっており慙愧の念に耐えない。新カリと同時にキヨーム関連の細かい雑事が間断なくあり、こういうのがボディーブローのように効いてくるので、情緒は恒常的に不安定(まさに精神安定剤のお世話になりたいところを飲酒で誤魔化しているが、近所のバーにいくと自分でも驚くほど飲んでしまうので最近は自重し、自宅でスパークリング・ワインとウィスキーという具合に控えている)。まあ冬の風物詩的ギョームは終わったので気がずいぶん楽だが。

同僚のS司さんがオーガナイズする研究会の資金でなんと南大沢時代のボスでいまは明大前方面にいらっしゃるあの泣く子も黙るカリスマT山先生に吉祥寺でのご講演をご依頼することになり幸いにご快諾いただけたのだが、今朝はその日程の打ち合わせでお電話をしたりして緊張したりとか。それもどうにか無事に済ました後に各種家事も済まして明日の修論審査のために以下の戯曲を読了する:

Suddenly Last Summer and Other Plays (Penguin Modern Classics)

Suddenly Last Summer and Other Plays (Penguin Modern Classics)

テクストは1958年のNew Directions版であるが。論文の著者はテクストのバトラー的な意味でのperformativeな次元におけるmale homoeroticismを読み込もうとするが、小生の読後感ではそれをも含めたjouissanceということをより考える。テクストの最終箇所で露出する(冒頭でも示唆されるが)cannibalismと、それに密接に関連するincestとかmale homosexualityとかから連想するのは、むしろバトラーがフロイトに読みぬいたpre-oedipalなmelancholiaであったりもするが、ともかくも凄いテクストだぜ。今晩は俳句の締め切りもあるが、以下のフィルムも観ておかないと:

去年の夏 突然に [DVD]

去年の夏 突然に [DVD]

追記:次の本を通勤の友に:

回想の太宰治 (講談社文芸文庫 つH 1)

回想の太宰治 (講談社文芸文庫 つH 1)

しかしA部さんはさすがにこのテクストの急所ともいうべき箇所をじつに巧みに引用している。太宰のかみさんって高等女学校を出たかなりのインテリだったのだなあ。今だったらお茶大の教授でもおかしくない人だったんだ(下手すると亭主よりも教養はあるかも)。

追記2:上記の急所と太宰の奥方の教養とは関係がない。しかしあの時代はこんな高学歴の女性が至極当然のごとくsuch intolerable chore of housekeepingを強いられるとは・・・。