大倉山の場末のスナックにおけるコンラッド的な体験

昨日の土曜日は仕事は山積みながらも直近の仕事たちは一段落と勝手に安心して昼は子供の野球の試合観戦(子供はまだ試合には出ることはできないが)。夜は子供の学童保育の「父の会」という名目の飲み会@新横浜。最初はフツーの居酒屋。だが次は甚だ強烈な仕儀にあいなった。これから2次会ということになるとこの会の常連たちが「お化け屋敷に行こう」と言い出した。なんのことかといぶかっていたらそれが件の大倉山の場末のスナック。これがまさにお化け屋敷。言い得て妙なり。店全体がピンクを基調とした内装になっているのだがこれがまた場末のスナック的悪趣味の極致。接客担当の方々の平均年齢は70をゆうに超えるのは確実。さらにその方々のサーヴィスの身体的な密着度がこれまた強烈極まりない。父の会の面々、まさにお化け屋敷的苦痛をM的に享受している模様。小生も同じく。かかる過酷な環境はわれわれの飲酒の速度と量を自ずと加速し、普段は謹厳実直系のお父さんたちが次々と壊れていく。要するに歌唱へとなだれをうっての突入。小生もいつもの選曲でたとえば中森明菜を歌っていると、齢70を超えた方々が昔懐かしジュリアナ東京のお立ち台風の踊りを小生の眼前でご披露くださる。そのとき小生の脳裏をよぎったのは『闇の奥』におけるカーツのあの断末魔の言葉であった・・・。これは少なくとも悪夢に違いない。小生はなかでもとくに身体的な密着の対象と化すという光栄に浴し、手の甲に接吻されたりして、文字通り一瞬の間意識を失う(むかしゲイバーでさらにもう一歩先の体験をしたことを思い出す)。

ああ、なんという夜。

追記:このコンラッド的なスナックの芳香(!)が染み付いたYシャツとズボンを翌朝クリーニングに出したことは言うまでもない。いっそ捨てようと思ったのだけれども。