お、出塁しちゃったのかなあ

本日木曜日はジュリエット・ミッチェル・ゼミでのプレゼン。かなり緊張する状況だが、最近小生、この種の英語のプレゼンに妙に場慣れしてきて、ちょっとプレッシャーを楽しみながら原稿を読めた気がした。結果としては、ミッチェル先生、とても昨日話した線で面白がってくれたので、ホームランまではむろんいかないが真芯に当たったセンター前のクリーンヒットくらいはいって1塁に出塁した感じか。心底ほっとする。だがクライン派の言説をフロイトラカン「以後」に救い出すという線は、議論は不十分だったなあ。その辺はミッチェル先生などから鋭いコメントがあったので、今後の課題だろうね。詮無きことをいえば、この30分のプレゼンのために8月からずっとこればかりに専心できれば3塁打くらいはいけるかもしれないが、やはり日本で打てても大リーグではホームランを打てないみたいな比喩が妥当か。初歩的なレヴェルでラカンに触れたのだが、この前は欠席だったのに今回は出席だったPsychoanalysis Unitのラカンの専門家(以前にこのブログでも紹介した)が好意的なコメントをくれたのにも安堵。ただ1塁打にしたのは、PhDの学生用のゼミなのに話が少々濃密すぎた模様で、学生さんたちは発表直後いささか呆然とした感じで、まずはミッチェル先生が「とてもすばらしいペーパーだ、それは...」という風に解説してくれて、ラカンの専門家が「私もなかなか面白かった...」という風に話をし、その後に「よくわからなかったけれども」という感じで学生さんが質問をしだすという展開。質問への対応は反省点が多い。学生が基本的なところを質問しているのに、今回のペーパーの文脈で説明をして話がより混濁したところを、ミッチェル先生がきわめて明晰に説明をし直すということが数回(やはりベテラン教授という感じ)。ミッチェル先生から読み原稿のファイルをMLに流すように指示。Deeに聞いてみたらアクセントは明晰だったが話の密度が少々濃かったそうだ。ただ、クラインの対象理論の過激なところをメランコリアがらみで話したり、アブラハムの「アムビヴァレント」という概念に触れたりして、議論の活性化には貢献できた模様。まあ、ロンドンに来て半年、懸案のAlix StracheyとJoan Riviereについて本格的な論文を書く素地ができたことになり、まあまあ小生の在外研究も「充実」しているといってよいだろうか。小生がかなり無理なスケジュールでもこの種の仕事を引く受けるのは、人前で話すことを前提にテクストを読むと、理解度が画然と上がるからで、今回もそんな体験をした。参考までにこのゼミのスケジュール表を貼付けます。今回の小生の話とつながる(というか意図的につなげた)11月下旬のいま触れたラカンの専門家による「性別化」のプレゼンは楽しみ。とてもよい入門書の著者で小生もこちらで部分的に読んだ。例の『アンコール』に勉強になるなあ。

Autumn Term 2012
“Sexuality and Sexual Difference”

Key readings for the term:

Freud, S. (1905).Three Essays on the Theory of Sexuality. S.E. 7, pp. 123-246

Freud, S. (1933). Lecture 33: Femininity, in New Introductory Lectures on Psycho-Analysis. S.E. 22, pp. 112-135.

4th October
Felicitas Rost: “Gender and Sexual Difference. Why does the debate repeat itself?”

Reading: Please familiarise yourself with the key readings before this seminar.

18th October
Prof. Fuhito Endo – Womanliness as a Masquerade

Reading: Riviere, J. (1929). Womanliness as a Masquerade. Int. J. Psycho-Anal., 10:303-313.

1st November
Dr Lesley Caldwell: Winnicott - Creativity and its Origins.

Reading: Winnicott, D.W. (1971). Creativity and its Origins. In Playing and Reality. London: Tavistock Publications, pp. 65-85.
15th November
Dee McQuillan – Freud: A Case of Female Homosexuality

Reading: Freud, S. (1920). The Psychogenesis of a Case of Homosexuality in a Woman. S.E. 18, pp. 145-172.

29th November
Dr Lionel Bailly and Nicolas Lorenzini - "Lacanian Formulas of Sexuation"

Reading: Bailly, L. (2009). Chapter 9: Gender bending: The formula of 'sexuation'. In Lacan: A Beginner's Guide. Oxford: One World Publications.

13th December
Overview: Leonardo Nascimento: ‘The Great Antithesis’

Reading: Makari, G. (2008) The Unhappy Marriage of Psyche and Eros, in Revolution in Mind: The Creation of Psychoanalysis. Part 1, Chap 3, pp. 85 to 125.