おかげでそろそろ漲ります

29日日曜日のS木先生のレクチャーは予想に違わず刺激的なもの。ド・マンの「アイロニー」観の変遷、それと連動するベンヤミン評価、さらにベンヤミンの精読からド・マンの言語へ逆照射される議論。「媒質」「神的=絶対的なもの」「暴力」というベンヤミンの鍵語をめぐる緻密な議論とそれを介在するハイデガー、シュミット。底知れぬ密度を持った近代ドイツの思想とヴァイマール期の「危機」が遭遇しさらにそこにユダヤ神秘主義が加わることで比類のない強度を帯びた政治的=美学的思弁が生まれたのだろう。徹底的な唯物論ユダヤ神秘主義的言語のパラドクシカルな混交。まあ、小生としてはかかる「媒介性」批判の思想をめぐる刺激的なレクチャーをきっかけに去年やった『革命と反復』論の論文化をぜひ。懇親会で例の同人誌についてかなり具体的な話も出る。と同時に戦後の精神分析におけるメタ心理学的思弁の「歴史化」という点にも頭が向く。それを「思想史」とか「観念史」に回収/抑圧しないこと。とてもアクチュアルな領域である。ちなみに「アクチュアル」というと今風で軽薄であるとある同業者に悪口を言われたことがあるが、英文系の批評理論な歴史主義者ってベンヤミンアドルノも見たことがないのかしら(っとまた筆禍、へへへ)。

30日は午後から卒論ガイダンスのために大学へ。形式審査の厳しさについて学生に1時間みっちりと。しかしガイダンス資料に考えられないようなミスを学生に指摘される。愕然。あんなに注意したのに。

明日は2時から三田で教科書会議。