濃すぎる同業者たち

昨日は昼から神保町で親学会の某委員会。仕事はかなりスムーズに進む。大阪方面からのH部委員長は有能だ。その後は近くのなかなか素晴らしい大衆居酒屋で痛飲。この委員会の諸氏、ともかく濃すぎる(キャラもお仕事の密度も)。あの先駆的かつ洞察にあふれたRW論の著者のY田氏が事務方としてこの委員会に参加され小生の隣でいささか酩酊されお国の熊本アクセントでじつに「経験」に満ちたRWをめぐるお話を語りかけてくれるし、東北方面からいらしたわが国のロマン派研究では「この方しかいない!」というべきO河内さんともド・マンへの英文学的無理解への義憤を深く共有でき、同時代の日本文学への精力的な批評活動では業界の双璧ともいうべきT田さんと事務局からの参加となったA部さんが小生の正面と隣にいらしたので、かなり酩酊した小生がお二人の「批評」のスタンスの差異が奈辺より発しているのか?につき絡みぎみにお伺いすると、T田さんからはじつに含蓄に満ちた有名な批評家とのガチの付き合いにも言及されたお言葉が返ってくるが、より老練なA部氏は話題を巧妙にもM男としての小生のセクシュアリティにすり替え、ここではとてもお名前を言及することができない業界の女性を次々と列挙されては「貴兄は誰に一番顔を踏まれたい?」との問いを執拗に繰り返すのだが、小生は当然ぎりぎりの保身から黙秘を貫いた(絶食はせぬが)。また委員長のH部さんとも18世紀小説に関するご著書へのお話を深く伺えた。当然座の中心はあのミッキー幹事長で、最近の業界的な貫禄からし民主党の某幹事長と風貌が近づいてきた。また中京方面からきたT先輩(小生KOよりも以前勤めた都立大への帰属意識が強いので)とも濃密極まりない会話を交わす。当然の流れで歌唱ということになるかと思ったが、T先輩がご帰宅になるので出鼻をくじかれ、小生もなんだが力が抜けて帰ることにする(沢尻をご披露する機会を失った)。

帰宅するとセミネールの2717の読書会を考えているとメールでいってあったジュリエットからメールが来て、たぶん次の本に入っている論文とは異なるテクストを送ってくれるとのこと。繰り返すが、この前のワークシップに大変満足をしてくれているみたいだし(参加のみなさまに再度感謝)、小生の仕事にもご理解とご関心をもっていてくれているようだし、なんかうれしい。北米での精神分析系の方との知遇は増えていくのだが、イギリス方面がその点で発展しないのは、精神分析フロイト)フォビアをもった方々がいらしたロンドンの歴史の研究所でお世話になったせいかしら。そのお一人の超優秀なユング研究者が来日して講演のはずがご病気でキャンセルとのこと。心配である。

The Other Side of Psychoanalysis (Seminar of Jacques Lacan)

The Other Side of Psychoanalysis (Seminar of Jacques Lacan)

Jacques Lacan And the Other Side of Psychoanalysis: Reflections on Seminar XVII (Sic Series)

Jacques Lacan And the Other Side of Psychoanalysis: Reflections on Seminar XVII (Sic Series)

バークレーではジュリエットの教え子が拘束されて講義をやめさせられたそうで、事態は小生の甘い予想以上に深刻なようだ。まったくこれは対岸の火事ではない。大学における人文系の学問を守る必要はわが業界でももっと真摯に考えれてよいと思う。