相変わらず

雑務のなかで本業になかなか集中できない日々が続くが、先週末には国立の冷戦読書会で関西からO貫さんがご足労下さり、RWとトリリングに関するじつに刺激的な議論をお聞かせくださる。呆けた頭にはじつによい刺激。やはり最近この業界の知的エネルギーは国立にあるなあ。今回はこれとRW研のジョイントなわけで、凋落はなはだしいわが業界ではかなり異色な二重の盛り上がりであり、鬱の小生がどうにかやってられるのも――だれがなんといおうと――この二重のエネルギーのおかげである。

当然のことその後の飲み会@国立はじつに楽しかったが、翌日三田で2時限の授業がある小生と横浜でご近所のhidexiさんと終電ぎりぎりで帰路へ。shintak氏へ「はなみずき」攻撃を中国漁船のごとく果敢に仕掛けるはずだったが、それは年末にでも。しかし東横線は元住吉までしかいかないので(といっても論理的にはむりがあるが)hidexiさんと日吉で2時間の歌唱(その際の会話で小生が授業中やってしまったとてつもない間違いがわかる。ゼミでイシグロの最初の小説をやっていて、舅と嫁との微妙なエロティシズムがたぶん参照している先行テクストとして、なんと小津安二郎の『山の音』といってしまったのであった。黒板にもそう書いた。無論、成瀬巳喜男の間違いである。今週のゼミで訂正したけれど)。というしだいで睡眠1時間程度で三田で授業をしたというじつにめでたい週の開始であった。

明日は某翻訳関係の雑誌のインタヴュー。『ダロウェイ』の最近の二つの翻訳を比較せよというお仕事。冒頭箇所を吟味するとたしかに面白い。自由間接話法の処理とかウルフ独特のセミコロンによる羅列がつくりだすあのリズム感が問題となるのだけれども、その辺がともかく面白い。ということで明日は吉祥寺の研究室までいかなくてはならない。

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ダロウェイ夫人 (集英社文庫)

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ダロウェイ夫人 (光文社古典新訳文庫)

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