イヴェント@吉祥寺

お知らせです。

成蹊大学アジア太平洋研究センター・共同研究プロジェクト
近代「日本」の表象形成と環太平洋の地政学
(研究代表者:遠藤不比人)

2010年度第一回研究会
近代における「日本」をめぐる特に美的表象を環太平洋という地政学的な磁場において歴史化するという研究目的を掲げて今年度から開始された本共同研究プロジェクトでは、以下の研究会を開催します。参加を希望するかたは、事前に日比野啓(hibinoアットマークfh.seikei.ac.jp)までご連絡ください(アットマークは@です)。

日時:2011年2月20日(日)
場所:成蹊大学1号館3階アジア太平洋研究センター会議室


10:00-12:00 『ロビンソン・クルーソー』スピン・オフ:ロビンソンと呼ばれた者たち 吉原ゆかり(筑波大学准教授、イギリス文学)

新島襄アメリカで最初に買った本が『ロビンソン・クルーソー』(以下RC)。1870 年代田中鶴吉は放浪の果てアメリカで成功、小笠原で製塩業を試みるが失敗、「東洋の小魯敏孫」と呼ばれた。小谷部全一郎はなぜか北海道回りでアメリカに非合法渡航しようとするなどなんだかんだのあとでアメリカで教育をうけ、A Japanese Robinson Crusoe (1898)なる自伝を英語で出版した。ぐっと下って敗戦後の南の島。かつて日本支配下にあった孤島に女ひとりと男30 名あまりが取り残され、男たちがひとり、またひとりと死んでいく。これに材をとったのが桐野夏生東京島』。これもRC モノだといってしまおう。清朝時代の中国におけるRC 翻訳や、日本帝国支配下朝鮮半島へのRC 移入の話を交えつつ、アジア太平洋地域でのRC スピン・オフ/ロビンソンを名乗った(と呼ばれた)者たちについて考える。
テキスト:岩尾龍太郎『幕末のロビンソン』(弦書房、2010年)第8章。


13:00-15:00 冷戦期とヤスナリ・カワバタ 越智博美(一橋大学教授、アメリカ文学

川端康成は(1899-1972)はノーベル賞(1968)を受賞して一躍世界のカワバタになりました。しばしばこのノーベル賞は、エドワード・サイデンステッカー(1951-2007)のすぐれた翻訳によるところが大きいと言われていますが、実際にサイデンステッカーがいわゆる "Cold Warrior" として果たした役割は小さくありませんでした。川端が『伊豆の踊子』を、ついで『雪国』を発表したこと、またその解釈の意味を冷戦オリエンタリズムの枠内で考えてみたいと思います。

刺激的な議論です。日曜ですが、ぜひ、吉祥寺のお越しください。

国立方面のみなさん、かぶってしまってすいません。

H比野さん、折角作ってくれた洒落たポスター、はてなにアップできるテクがなくて、すいません。

2月は会議やキョーム系の業務が立て込むが、まずはゲラがやけに手がかかることになる。またオランダ方面作戦の活字化を早く済ませないと、その後のメイン・イヴェント的仕事に差し障るなあ。あとこのイヴェントと同じ資金系統のG田プロジェクトの論集に書くと安請け合いした論文もあったなあ(冷戦、核、セクシュアリティで北米の戯曲について・・・大丈夫か)。