帰宅難民

夕刻の組合団交のため昼過ぎから研究室でデリダ本を読んでいると睡魔ともめまいともつかぬ脳がゆらゆらとする感覚。しかし次の瞬間それが横揺れの地震と知る。瞬時に宮城か?と思うが存外近い感覚もあるので茨城沖か?と直感するが、実際は両者結びついての記録的な大地震。小生の研究室をその5階に蔵する12階建ての研究棟は大いに撓ったらしく、その構造上11階の住人の報告するところによれば、釘止めされた金属製の書架が壁から躍り出る有様のようで。小生の研究室はさほどのこともなく。余震を恐れて全教職員および学内に確認される学生は寒風吹きすさぶ戸外で建物の中にいることを許されず身を振るわせることに。話を端折れば結局のところ武蔵野から横浜に帰宅する術もなく、国文の先輩教員と近場の蕎麦屋で一献の後に研究室にて宿泊することに。なんでも学内に百を下らぬ学生諸君が残るので安全管理上、幹部事務職員から学部長、はては学長と専務理事までが構内で夜を明かすことになるらしい。という次第で初の研究室宿泊。南大沢時代に数回あったか、酔余の果てにね。すでに酩酊で勉強もできず。なぞと呑気なことを書くが、すでにしてその一端が露になりつつあるこの東北の地震、その被害の内実は確実に酸鼻なことになるだろう。あの神戸だって最初の報道の呑気と被害の実態の落差は真に戦慄に値する。