フラットにて

寝坊のせいで自宅フラットにて過ごす。国立方面の博士(請求)論文を読み進める。現在、猖獗を極めるグローバリゼーション/ポストフォーディズム状況からの系譜学としての英文学という結構か。特に田舎/都会、イングランド/「帝国」、文化/社会などの相互交渉と読ん(呼ん)でいい言説的磁場を紡ぐ縦糸と横糸をこの視点(系譜学)から解いていく作業(読解)のなかに、ほとんどもはや消滅しかけているリベラリズムの残滓を拾い上げて、そこに未来をかろうじて見るという試みか(誤読していないといいけれども)。50年代の文化左翼の勝利ゆえに、当時すでに残滓的なものとなっていたリベラリズムがその後グローバリゼーション/ポストフォーディズムに収奪されるという結果がもたらされたという指摘は面白い。この脈絡でもちろん、カルスタ、批評理論、文学と理論、文学と政治といった制度への介入が鮮やかにできるはず。いかに自身の思考が歴史によって視野狭窄を強いられているかへのdouble visionにたいするduble visionの実践でもある。あと少しだけ読み残しているので今晩中に読了しよう。

晩は地味に和食など。タイ米にbrown rice(玄米?)をちょっとまぜて炊くとなかなか。それにみそ汁(さやえんどうに「ふえるわかめ」)、納豆(にはとうぜんleek)、それにmackerelの薫製にblack pepperがかかっているやつ(これは以前のロンドン在住以来の好物で週に3回はお世話になる)。晩酌は禁欲。Brunswick Centreにあるフラットはいろいろと便利なのだが、目の前にパブが2つあり金曜の晩は少々やかましい。またフラットの表のドアが住人しか入れないことになっているのに、いったん開くとなかなか閉まらないから、夜などときどき近所の不良が入ってきてタバコなどを吸う。しかも99という小生の部屋の前にたむろすることなども一度あった。以前に比べて経済がよくないせいかロンドンの治安は悪くなっている気がする。ちなみに大家さんのジョージナによると、以前はSt.Pancras辺りにいたprostituteがいまやBrunswick Centre周囲に移動してきたそうで、確かにパブで飲んでいるとそれらしきひとがいるなあ。St.Pancrasといえば大幅改装でいまやきれいなホテルになったのだが、おとといちょっと見学してくる。立派にきれいになっている。ついでにパブで一杯やってきたが、そこにもprostituteとおぼしきひとがいた。ロンドンでは夏のオリンピックの話題はまだ盛り上がらず、5月のロンドン市長選のほうが大きなニュースになっている。しかしオリンピックの時期はうるさいだろうな。なにしろ部屋の正面にHoliday Inn Bloomsburyがあるので。