さすがに脳的な疲労が

目下続行中のプロジェクトは1922年にIJPに掲載されたAlixの(doubly disguised) self-analysisを同時代の精神分析的語彙や修辞性のなかで再解釈することが中心的な作業になるのだが、そのためにはこの症例における夢テクストの分析が重要になってくる。そこにはanal-sadismと関連するmelancholiaの表象があって、その先行テクストには同じくIJPに1920年に掲載された2人のDutch analystsの議論、それを踏まえたこのテーマに関するこの時代の決定的なテクストである1924年のKarl Abrahamの論考(1924年の段階で彼に分析を受けていたAlix自身がそう認めていて、また著者の死後に英訳をして著作集に収録した論文)がこの表象の解釈をする際のmustな参照枠になる。と同時に、この症例分析に関して優れた洞察をした(けれども小生の論点とはちがう)John Forresterが参照するFreudの'Remembering, Repeating and Working-Through' (1914) とmelancholiaに関する大元のテクストであるFreudの 'Mourning and Melancholia' (1917) も精読しなくてはいけないので、昨日はこの二つのテクストを連続して読む。さすがFreud、短いながらも濃密なテクストでrichly suggestive。それも小生の11インチのMacBook Airで例のPEPからdownloadして読んでいると、こういった電子テクストになれていないこともあるが、そういった物理的なことと、もとの言語の稠密さでもって、標題のような仕儀に。つかれた。だが小生の論考にとってdecisiveな箇所を発見してMy 'work-in-progress' paper has made further significant progress と言いたい。Alixが(無意識的にも)参照しているテクスト群の細部がうまく関連し合い、a psychoanalytic network of symbolism in the early twenties especially concerning 'melancholia' and 'anal-sadism' in the formation of female subjectivity of an emancipated and/but reluctant feminist みたいなものがnarrativeとしてさらにconvincingになったか。ともかく資料が限られているので(彼女は、長大な小説なり日記を書いている訳ではないので)なんというかmissing linkをつなぐ作業となっている。その作業に引き続き、興に乗ったので先日のエントリーでふれたJuliet Mitchellの論考も読む。brilliantの一言。Freudian castration complexとLacanian lackをfeminine sexualityに関して結びつけるというまあ理論的にはふつうの議論だが、performativeに鮮やか。精神分析の本質が垣間見えるような切れ味。その脈絡でKleinian Otherにはlackがないと言われてなるほど。でもちょっと待って...。

ということで昨日はBLで9:30から19:30までほぼ連続しての作業(途中15分程度の軽い昼食を除いて)。さすがに疲れて、あまり夜は眠れず(それに非常に分析に値するようなやばい悪夢にうなされる、これはなんなんだ)。といいながら今日もBLで9:30から。今日はAlixがarrangeした1925年のKleinのLondon lecturesが翻訳されたかっこうになっているつぎの本のPart Iを読み始め、昼過ぎの段階で2つほど論文を読む:

PSYCHOANALYSIS OF CHILDREN (The Writings of Melanie Klein)

PSYCHOANALYSIS OF CHILDREN (The Writings of Melanie Klein)

もとのレクチャーも収録された論文もAlixの翻訳。以前のプロジェクトとはちがった読みになるが、今回はこれらのテクスト周辺の歴史的、制度的文脈がよりわかっているので、理解度は増す。でもやはりFreudのテクストとは濃密さがちがう。

昨日Deeからメールが来てBirkbeckでのKleinに関する刺激的なレクチャーの情報が。多謝。organiserにさっそく席を確保するためにメールをしたが、1日経っても返事が来ない。なんだかいらいら。out of officeかもしれないが、それならそれとしてくれ。その点モントリオールのconferenceにregisterした際のSamの返事は早くて壮快だった。