Freud’s Femininity
月火とBLにて次の本などを勉強:
On Freud's Femininity (Contemporary Freud: Turning Points and Critical Issues)
- 作者: Graciela Abelin-Sas Rose
- 出版社/メーカー: Routledge
- 発売日: 2010/12/31
- メディア: ペーパーバック
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IPAに所属するフロイト派の分析医があの悪名の高いフロイトの例の議論に修正主義的な修正(同語反復すいません)をして、現在のジェンダー論のなかでも許容可能な精神分析の再構築を目指している感じ。まあ現在の臨床の現場の一端を知るには良い本だが、かなり常識論に近く、フロイト的な凄みのある洞察が消えている感じ。そんな中でフロイトのそういった凄みをフロイト自身の言いよどみを取り払って、鮮烈なまでにfemininity=masochismという点から精神分析のもっとも過激な性欲論の可能性を射抜いたのが、この本の6章:Jacqueline Schaeffer, 'The Riddle of the Repudiation of Femininity: the Scandal of the Feminine Dimension'である。小生がこれまで読んだフロイト論でもっとも刺激的。もちろん単純な解剖学的=生物学的運命論ではない(フロイトの理論ももとよりそうではないが)。フロイト自身がbedrockと称した部分をラディカルに読んでいる。感動しながらもすべてを理解できていないので、要再読。いずれこれをネタに論文を書かねばなるまい。
そんなこんななか近刊情報を:
文学研究のマニフェスト ??ポスト理論・歴史主義の英米文学批評入門
- 作者: 三浦玲一,遠藤不比人,越智博美,大田信良,河野真太郎,中井亜佐子,中山徹
- 出版社/メーカー: 研究社
- 発売日: 2012/12/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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アマゾンで出たので再度ご紹介。自分も書いたので自己宣伝になるが、類書のなかでは抜群の出来。ともかく私以外の執筆者が凄い(ちなみに私の書いたものは2月に出た本の中のマンスフィールド論を一般書向けに書き直したもの。もしあれにご関心があり、よく分からないところがあるというような方がいらっしゃれば、読む価値があります)。それよりも他の方の論考は若手の研究者がいまこそ必要としているもの。アプローチも多彩で予定調和な本ではない。また一般書として意識されているので、reader friendlyでもあるはず。ぜひご購入ください。M浦さんの名editorぶりにも脱帽。
1月半ばのMadrid、調子に乗ってpaperを読むことになりそう。Ramonと彼のレクチャーの後でワインを飲みながらthe ethics of failureというテーマで日本語で本を出したと言ったら、とても関心を示してくれたので、あの線を英語で20分ほどという感じか。まあイントロの部分的な切り出しとなるか。
ロンドンは昼でも氷点下に近い温度。寒い。